離婚をするか悩んでいるひとへ「散らかしたからこそわかる我が人生」

散らかしたからこそわかる我が人生

16年前の自分にさかのぼろうと思う。

わたしは25歳。ウブで世間の右も左もわからずに憧れだった結婚生活を始められるんだと胸わくわくさせていた。

婚姻届けを提出し、いよいよ人妻のスタート。

大好きな人と温かい家庭を築くんだ。

新居となる自宅は都内でも一等地にあり、2人では勿体ないぐらいの広さ。

新しい家具で揃えられた新鮮な空気。

うん、素敵だ!素晴らしい!

新婚ってこれだ!これなんだ!真っ白で新鮮でわたしは新しい人生がここからスタートするんだ。

お腹には赤ちゃん。下っ腹が真っ平らなことが自慢だったけれどこれからは日に日にお腹が大きくなっていくんだわ。そりゃそうよ、赤ちゃんが成長するんだもの。

なんて素敵なの!

わたしの人生大きな挫折も味わうことなくここまで何とか生きてきたけれどこの日を迎えるためだったのね。神様、ありがとう。

さて、旦那さんが目を覚ます前にまずはメイクをしないと!

だって、妊婦で仕事もろくにしていないわたしが家ですっぴんで過ごしているなんてみっともないじゃない。嫌われちゃうもの。

自慢じゃないけれど旦那さんは芸能事務所にも所属していた人だし、高校生の時はファンが追いかけてきて一緒に電車に乗り込まれるような人なのよ。

危うく、わたしの友達も彼のことが好きになってしまいそうになり彼は逃げたほどよ。今の仕事は港区にあるとある隠れ家バーで店長をしていて芸能人がお忍びで来る場所。だから人付き合いで忙しいけれど、仕方ないの。わたしがそういう人を選んでしまったのだから。

そんな人が旦那さんだからわたしがすっぴんで生活をするなんてよその女に取られてしまうかもしれないしダメよ。家でもどこでも抜かりなく隙なく綺麗にしていないと!

よし!今日も自分磨きに頑張るわ!最新のメイク用品を買い、妊婦でも着られる可愛い洋服を探そう!

あれ?何だろう・・・幸せなはずなのに心が軋む。キシキシする。

こんなに一生懸命にメイクして部屋も綺麗にして妊婦とは思えないぐらいおしゃれな洋服をして着飾っているのに、彼は気づいてもくれないし毎日家に帰ってくるのが楽しくなさそう・・・何でだろう。あなたのために努力しているのに。

しまいには、昨日は帰ってこなかった。電話をしても出ないし、何なら仕事中はなるべく電話はしないって決めているから様子がわからない。

あれ・・・?何だろう、心が寂しい。でも、毎月きちんと生活費ももらっているし友達にも親にも生活費すら渡さない男がいる中できちんと仕事しているんだから感謝するべきだよ、大丈夫だよ、って言ってくれたし。そうだよね、忙しく働いてくれているんだ、感謝しよう!我慢だ、我慢。今日もきちんとメイクして妊婦らしくないほどにおしゃれしていよう!

でも、あれ・・・?やっぱり心が寂しい。寂しいというか虚しい。確かに友達が寂しさを埋めてはくれるけど何かがおかしい。結婚生活ってこういうものなの?それともわたしが特殊なの?でも、妊婦健診には仕事を休んで一緒について来てくれる。それだけ愛されているっていうことだ。うん、大丈夫。

だけど、ケンカすることが増えた。

一生懸命メイクをしても気づいてもらえない。わたしよりも、仕事の人たちとの付き合いを大切にするようになった。店長だし仕方ないのかな。

2人で出かけることも少なくなった。

次第に仕事から帰るのが遅いから寝室も別になった。一緒にいる時間が減った。

うん、わたしが想像していた結婚生活はこういうものじゃない。

わたしが見てきた自分の両親はこういう形じゃない。

両親の形と同じにしたいわけじゃないけれど、歯車が噛み合っていない。これは夫婦としては致命的な気がする。

よし、話し合いをしよう。

膝つきあわせてじっくり話せばわかるはずだ。

だって、付き合いも長いんだし。

「ねえ、最近のわたしたち何かおかしいよね」

「きちんと話し合おう」

あれ?話し合いにならない。理路整然と話たいし今後についても決めたいのに噛み合わない。相手もめんどくさそう。わたしも虚しくなってきた。この話し合いは初めてじゃない。これまでも何度も話してきたし決め事もしてきた。その度に、最初こそ決まりを守ろうとしてくれるけれど、時間が経過すると元に戻る。

「もう、疲れた」

何かの糸がプツンと切れたわたしは同級生に電話をして助けを求めた。

「お願い、もう無理だ。実家に帰りたい。助けて欲しい」

お腹もそこそこ大きくなってきてつわりもひどく駅まで行って電車に乗って福島に帰る余裕は体力的にも精神的にも残っていなかった。

「わかった。マンションまで車で迎えに行くから荷物だけ準備して」

同級生とのやりとりでこれ以上の内容は正直覚えていない。

人間はあまりに辛いと記憶を無くすというが、あれは本当だ。

わたしは人生の中で2か所、覚えていない記憶のない時代がある。

この最初の結婚生活の一部と

震災直後の父が発見されてから福島を出るまでの期間。

この記事を読んでくれているあなた。

16年前に一緒にさかのぼってくれてありがとう。

これだけわたしは人生を散らかしてきた。

結婚さえすれば大変な仕事からは解放され幸せになれるんだと勘違いして選択したあの頃の自分よ。

お前は世間を知らず、若さゆえ憧れだけで生きてきたけれど

自分の情けなさを今は棚に上げても良いのならここに吐き出すことを許しておくれ。

自分がかわいそすぎて泣けてくる。

朝起きて、イノイチバンで化粧をして妊婦なりに綺麗にしていようと頑張っていた自分が虚しすぎてかわいそすぎて涙が出てくる。

すっぴんでいるだけで、自分らしくいるだけで相手に嫌われてしまうんじゃないかと思いこみただ着飾って心を誤魔化すことでしか生きられなかったわたしがかわいそすぎる。

いやーーーーーー

お前は頑張ったよ!辛かったね!しんどかったね!

あのまま結婚生活を継続することもできたと思う。

それを放棄するとき、周りからの意見や評価、そして何よりも両親を絶望させるんじゃないかとビクビクして生きていたわたし。

よく離婚を決意した。

妊婦でお腹の子どものことを考えると、それが最善の策なのかわからず、まだ20代という若さで自分の選択に自信ももてず、それでも辛かった時期を泣き寝入りするのは自分がかわいそすぎて離婚調停や裁判までやれたのは友達が支え励ましてくれて弁護士を紹介してくれたから。

そこにはいつも信頼できる人がいてくれた。

結婚して地元でもある都心の大好きな土地に住み、キラキラした生活をすれば幸せになれると思い込んでいた過去のわたしよ。

お前の気持ちはわからなくもないが、もう味わったはずだ。

自分を蔑ろにして、誰かに人生の舵を握らせても幸せにはなれないということを。

だから、ここに誓う。

人生をさんざん散らかして、ここには書き切れないぐらい酸いも甘いも経験したわたしだからこそ書ける文章があり、言葉があると。

同じように人生に行き詰まり、心が疲弊して、それでも「まだいける!」「まだ大丈夫!」と身体中のどこかに潜んでいるエネルギーをフルで使い果たそうとしている人に、伝えられる言葉がある。

人生はノリなんだ、いつ死ぬかわからない。

父の無残な死を目の当たりにしてきたからこそ伝えたい言葉がある。

ギリギリまで頑張って、そして自分を大切にできるようになったアカツキにはきちんと自分なりの幸せが待っているから大丈夫だよ!と力を込めて言いたい。

これからもわたしは自分の人生すべてがコンテンツだと覚悟して、発信していくから恥部も晒していく。それがまるでアートで芸術であるかのように自信を持って発信する。

だから、今、しんどくて心が疲弊して違和感を感じている人はどうか自分を蔑ろにしないで欲しい。

あなたを大切に思う人が必ず周りにいる。

それは親かもしれないし、友達かもしれないし、パートナーかもしれない。

もしかすると過去の頑張った自分かもしれない。

人生、散らかしてきたからこそわかることがある。

散らかしてなんぼだ!

失敗がなんだ!他人の意見や評価がなんだ!

成長?成功?金持ち?夢を叶える?誰かの役に立つ?

まず、これまでの自分を褒めて慰めてあげようじゃないか!

話はそれからだ。

そして、わたしが恥部まで発信出来るのは理解ある現在の旦那さんがいるからだ。

君には本当に心から感謝している。

こんな変わりもんの女を嫁にしてくれてありがとう。

これからも一緒に人生散らかしていこうぜ。

※元パートナーに関しては個人が特定できないよう濁らせた表現で書いています。

わたしの散らかした人生は本になっています。

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