「素敵な家族」であるべきだと思っていた
以前のわたしは、家族というものは「素敵な家族」。もっといえば、周りからうらやましがられるような「いつでも仲良しな素敵な家族」であるべきだと思っていました。
そう思うようになった理由は自分が育った環境、家族にあったように思う。
わたしの家族はとても仲が良かった。
父は、母の日には必ず母に「お母さん、いつもありがとう」と書かれた札がついた大きな花束を買ってくる。わたしは、その姿を毎年見て「お母さんは、お父さんの母親ではないのに」と思っていたけれど、母はその花束を喜んで受け取っていた。
(お母さんが父の日に花束を買ってくることはなかったけど笑)
そんな家族で育ったためか、自分がつくる家族もそうあるべきだ、と考えていた。
食卓はいつも笑顔であふれ、記念日には花束を受け取り、隠しごともなく一年に一度は家族写真でも撮ろう!
笑顔あふれるエプロン姿が似合うママ。パリッとアイロンをワイシャツにかけるいい妻、義理の両親とも良好な関係のいい嫁、みたいな。
でも、あなたが結婚していて、「素敵な家族」じゃないと悩んでいるなら、それが簡単なことではないことはわかってもらえると思う。
実際に家族をつくると……
結婚して家族をつくってみると「いつでも仲良しな素敵な家族」というのは、なかなかハードルが高かった。
感情がコントロールできずイライラしてしまう日もあるし、ムスメだって成長していけば親に隠しごとのひとつやふたつあるはず。
旦那さんも仕事が忙しいので記念日に必ず花束を買ってくるなんて至難の業。ましてや、母の日に花束を買ってくるなんて。
何度結婚しても「素敵な家族」は難しい
正直にいうと、仲良しどころか、ケンカもします。小さなことがきっかけで感情が爆発し、大きな声を出すこともある。
以前は、そんな理想とかけ離れたことが起きるとかなり落ち込んだ。
「わたしが作りたかったのは、こんな家族じゃない」
そう思ったことも何度もある。
一度、離婚した経験があるので、今回は最初の結婚生活では得られなかった感情を味わいたかったし、夢も理想もあった。けれど、何度目の結婚であろうが、「素敵な家族」を作るのは簡単ではない。
自分の気持ちや努力次第では、いつでも仲良しな「素敵な家族」を作ることは可能なのかもしれない。
ただ、自分の気持ちに嘘をついてまで「素敵な家族」を演じるのは違う。
よくよく思い出してみたら、わたしの両親だっていつでも仲良しではなかったし、家族の中での隠しごとはあった。ケンカをすることもあったし。わたしだって思春期の時は、親に隠しごとのひとつやふたつあった。
自分たちにとって、素敵な家族を
本当の「素敵な家族」
わたしを苦しめていたのは
「周りからうらやましがられるような『いつでも仲良しな素敵な家族』であるべき」
という考え方だった。
これは一見正しいようだけど大きな間違いで。特に問題だったのは「他人から評価される『素敵な家族』」を目指していたことだった。
でもそうではなかった。
他人から評価される(うらやましがられる)「いつでも仲良しな素敵な家族」を目指すのではなく、「自分たちなりの素敵な家族」を作ればいいじゃないか
そう、心の底から思えたとき一気に楽になった。
他人からの「素敵」ではない
周りから「素敵な家族だね!」なんて言われなくてもいい。
そんな言葉を求めるよりも、本気でぶつかり合えて、自然でいられる家族でいたほうがわたし達にとっては最高のことなんじゃないか?
むしろ、一度目の結婚で出来なかったことは、そこなんじゃないか。
だから、今は、いつでも仲良しな「素敵な家族」を目指していないし、作ろうとも思っていない。
イライラすれば怒り、嬉しいとき楽しいときは笑い、子育てに悩み息詰まるときは真正面から家族みんなでぶつかる。
それでいいと思っています。
そのほうが楽しいし、無理をしないから。誰かのために笑顔でいい顔をするのではなく、本気で笑いたいときに笑う。それでいい。
他人から評価される「素敵な家族」を目指すのではなく、自分たちなりの「素敵な家族」を作ればいい。
あなたも同じです。他の誰かが求める「素敵な家族」ではなく、あなたなりの「素敵な家族」をつくる。それでいいんです。
あなた(あなたの家族)が求める「素敵な家族」の中でこそ、あなたは幸せになれるし、あなたの家族も幸せになることができるのだから。