妊娠したい気持ちとしたくない気持ちに悩んでいた…

12年ぶりの妊娠

12年ぶりに妊娠しました。

正確には人工授精によって妊娠した。

結婚してからずいぶん年数が経過するのだけれど、子どもはできなかった。そんな時に数年経っても妊娠しない場合は「不妊症」とみなされることを知り、検査を開始した。

ただ、それは結構ショックなことでもあった。子どもができないことがではなく、実は妊娠したくない気持ちがあったからです。

妊娠したい気持ちとしたくない気持ち

(「妊娠したくても、できない人がいるのに何を言っているんだ!」と言われることを承知の上でこれからお話を進めていきます)

わたしには既に娘が1人いる。なので、今回は2人目。その2人目を妊娠することに悩んでいた。

悩んでいたのは「自分の時間がなくなることへの恐怖」だった。

これまでのわたしには自分の時間はかなり自由にあった。娘は自分のことは自分でできるようになっていたし、“子育て”という感覚が薄れていた。

好きなカフェに行ったり、好きな本を読んだり、自由に時間が使えて、楽しく過ごすことができた。そんな時間を過ごしている時はそれが当たり前になるほどに自由だった。

「それを失うことになるのか……」

そう考えると、恐怖だった。

ただ、不妊治療をしないと2人目ができないことを知り、焦ってもいた。

妊娠したい気持ちとしたくない気持ちに揺れ動いていた。

妊娠したら、本当に時間はなくなるのか

そんな時、ひとつの考えがわたしの頭には浮かんできた。

「妊娠しても、自分の時間はもてるんじゃないか」

「自分の時間ってなんだろう、自由な時間ってなんだろう」と考えてみた。妊娠したら、本当に時間はなくなるのだろうか。

いや、時間は誰にでも平等に1日24時間。増えることも減ることもない。

しかも、その自分の時間で今のわたしはどれほど生産的なことができているのか?

24時間を有効に使えているの?

自分にそう尋ねてみると、自分の時間、自由な時間とか、そんなものは妊娠には関係ない、と思い始めた。

肝心なことは、妊娠中の日々の時間の使い方、そして、生まれたあとの時間の使い方。

だったら、えいっ、思考の変換だ!

思いっきり、妊娠中の時間を楽しんでやればいいじゃないかと、12年目の妊娠、そして不妊治療にも前向きになった。わたしはなんて、単純なんだろう。

呆気なく妊娠

わたしは痛みに弱く、年齢も年齢なので治療は体力的にはしんどかった。

「あー、これがかなり続くんだろうな」

不妊治療は長期戦、そんな気持ちでいたのだけれど、呆気ないほどすぐに妊娠した。

無事にお腹に赤ちゃんがやってきてくれたことは嬉しかった。不妊治療も長期戦ではなくなったのだし。

そこからの妊婦生活が「はあ~毎日幸せ~」という感情ばかりだったか、と聞かれたら素直に「うん」とは言えない。

贅沢なことはわかっている。だけど、それが正直な気持ち。じゃあ、ずっとつらかったの?と言われれば、もちろんそんなこともない。

お腹の大きい状態で妹の結婚式に出席したこともいい思い出だし、つわりで2ヶ月寝たきりの生活だったけれど、その間ムスメが著しく成長して、家事を手伝ってくれたことも嬉しかったし、旦那さんが一生懸命わたしが笑顔でいられるように気遣ってくれたことも嬉しかった。

では、肝心の「自分の時間がなくなることへの恐怖」はどうだったか。

なにも変わらなかった

問題だった自分の時間、自由な時間というものは、どうだったのか?

妊娠しても、なにも変わらなかった。

もちろん体調が悪ければ、なにもできないこともあったけれど、そもそも妊娠という貴重な時間がこの人生にあること自体ありがたいこと。

治療中は、普段通りの生活ができたし、妊娠してからもまだ赤ちゃんは生まれていないから、仕事もできたし、いつもと変わらない。

いや、むしろ「今のうちに友達に会っておこう!」とか「ここまでは出産までにこなしておこう!」と目標ができたりして、以前より時間を大切に使えた。

自分を変える、今を変える

自分を変えるとき、今を変えるときというのは、こういうものだと思います。

特に自分の現状を変えるようなときは、「わたしは今のままでいい」と現状に満足していることにして、変えることをやめようとする。

たとえば、引っ越し。

本当は引っ越しをしたいと考えていても「まだ、暮らせるし」とか「狭いけど、がまんすればいいだけだ」と、引っ越さなくてもいい理由をつくってしまう。

贅沢に暮らしましょう!と言いたいわけではないけれど、住む場所を変えることで、人生が大きく変わることもある。

仕事もそうかもしれない。

心の中ではやってみたいことがあるけれど、「きっと準備が大変だから」とか「協力してくれる人がいないし」とやらない理由がでてくる。でも、どんな人にも本気で求めれば、協力してくれる人はいるし、ひとつひとつ取り組んでいけば、ひとつひとつ片付いていく。

楽しいかも、くらいの気持ちで

確かに変えることは怖い。わたしもそうでした。

けれど、むずかしく考えないで、「変えてみたら楽しいかも!」ぐらいの気持ちでいればいい。

実際に変えてみたら、良いことばかりじゃないかもしれないし、大変なことが起こるかもしれない。でもそれは今を変えたから見えた世界。

わたしの12年ぶりの妊娠も、正直きれいごとばかりではなかった。

精神的にもしんどくてじんましんが出てしまうこともあった。だけど、そんなの人生の中では一瞬のこと。新幹線の窓からみる景色のようなもの。一瞬で通り過ぎてしまう。

妄想で頭をこねくり回している間に、実は今を変えて、新しい世界を見ている人たちがたくさんいる。

もし、あなたが今なにかを変えたい!でも怖い!と思っているのだとしたら、妄想の中で生きないで、むずかしく考えないで、えいっ!って変えたあとの世界を楽しんでみたら、と思う。

きっと新しい世界はあなたに楽しい刺激を与えてくれるから。