PROFILE

私の欲望は、一度も消えたことがない。

20代、借金してブランド品を買い漁り、ホストにも通った。恥ずかしい? 違う。あの頃の私は欲望に対して、誰よりも正直だった。異次元に生きたかっただけだ。最初の結婚は3ヶ月で終わった。理想としていた自分の両親のような夫婦にはなれないと、早くに気づいてしまったから。離婚してシングルマザーになり、生まれた町に戻った。屈辱だった。でもその屈辱が、私を動かした。綺麗な言葉じゃない。「こんなところで終わってたまるか」という、ただの怒りとプライドだった。

再婚した。名門私立小学校の合格通知を手にした朝、私が感じたのは喜びでも安堵でもなく、「勝った」という獣の感覚だった。本を出版したら、ダンナの肩書きで生きている女たちに無視された。ああ、そういうことか、と思った。私はあの世界には、最初からいられなかった。

欲望の形は変わる。でも欲望の量は変わらない。ブランド品が名門私立になり、出版になり、また別の何かになる。私という生き物は、欲しがることをやめられない。それを病と呼ぶなら、私は生涯治らない患者だ。

かつて「いい女になれ」と書いた。あれは時代と運が重なっただけだ。そして今、私はそれを解体している。いい女なんて、最初からいなかった。いたとしたら、それは欲望を隠すのが上手い女だっただけだ。

結婚しようがしなかろうが、男に依存して生きるつもりはない。離婚しないとも限らない。這い上がれる女でいることの方が、いい女でいることより、ずっと大事だと私は思っている。

治らない。46歳になっても、欲望は続いている。それでいい。治った女の話など、読みたくもない。

河合めぐみ